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─読むと恋をする─

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結果発表!
今月は3作品が期待賞を受賞!
それぞれ作品の雰囲気は大きく異なりますが、
3作品ともどこかに光る個性があったのが特徴です。
課題とする部分は、これから担当編集と一緒に鍛えていきましょう!

運命のシネスシージア

中村はな

28歳(茨城県・35P)

作品あらすじ

「長生きせずに消えてしまいたい」と思っていた近江真子は、言葉に味がついているという「共感覚」を持つ少女・小谷晃と出会う。自分の名前「アキ」を不味く感じるが、真子に発音された「アキ」は美味しいという。一緒に暮らし始めたふたりは、お互いの暗い過去に触れ…。

講 評

お互いを必要としあう人間と巡りあう物語が、強く描かれている良作でした。お人よしというキャラクターや、ふたりの掛け合いも楽しく描かれており、キャラクター造形にも力を感じます。一方、「共感覚」を原因とした過去のトラウマに説得力が欠け、テーマが未消化なのが残念でした。「共感覚」というものが、一般的な感覚とどう異なり、それが家庭にどう影響したのかが、読み手の感情移入を誘うように描ければ、ぐっと深みのある読み切りになったように感じます。次回からは、面白いテーマ設定だけではなく、それにまつわるドラマ部分に説得力を持たせられるよう意識してみてください。また、絵柄の安定感が欠けるので、画力向上に期待します。

宵闇にエコー

H・U

30歳(東京都・32P)

作品あらすじ

高校生のサツキは、屋上で授業をサボっていたとき、強面のハギ先生と遭遇する。煙草を吸っていて顔は怖いのに、自分を放っておいてくれる気楽さのあるハギ先生との交流はその後も続いた。学校にも家庭にも居場所がないように感じる女子高校生と、何かを抱えているように見える先生との心の交わりを描く物語。

講 評

ふたりの少しずつ進む心の交流が抒情的に描かれており、印象的なセリフや画面作りができています。また、高校生の若い感覚を描き切れている部分も高評価でした。しかし、お互いの抱えるものが直接的には描かれておらず、読者に想像させようという部分があまりに大きいため、説明不足な部分が大きかったです。読み手の想像力に全てを委ねすぎず、主人公が何を抱え、それが起こる出来事によってどう変わっていくのかを、もう少し踏み込んで描くよう心掛けてください。また、力の入っている絵と力の入っていない絵の差が大きいのも課題です。

恋~佐々木めぐの場合~

こえさきさえこ

29歳(東京都・29P)

作品あらすじ

佐々木めぐは、メンクイで顔のかっこいい男の子にばかり恋をしてしまう高校生。サッカー部の広田くんに告白してフラれたと思ったら、転校してきた横山くんに一目惚れしてしまう。すぐに横山くんに告白して付き合うことになった一方、めぐの幼馴染で地味だけど優しい男の子・小川はめぐに彼氏ができたことにショックを受けていたようで…。

講 評

可愛らしくほっこりとしたキャラクター造形と裏腹に、恋愛や人間の心のままならなさをリアルに描く作風は、非常に個性的です。こえさきさんにしかない強い個性は武器になりますので、大事にしてほしいと思います。前回の投稿作より物語として成立している部分は評価されますが、まだストーリーが単調に見えてしまう部分があるため、起伏のあるストーリーを意識してみてください。また、キャラクターが自分の気持ちを自分でも分かっていない部分があるように見受けられるので、物語を通じて何を伝えたいのか、キャラクターの心情のどういった部分を描きたいのか、ご自身でもう一度整理してみると、読者に伝わりやすくなるかもしれません。


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第24回(8月15日消印有効) 審査員:稚野鳥子さん
応募のきまり─募集要項─

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