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─読むと恋をする─

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結果発表!
今回は入賞作品がなく、最終選考まで残った作品が3本でした。
一定のレベルは超えているのですが、キラリと光る部分が弱かった印象です。
センス・キャラクター・ストーリー構成など、強く印象に残る部分が
1つでもあると入賞が近づきます!

入賞まであと一歩!

きっと、ずっと。

市川直美

54歳(滋賀県・63P)

作品あらすじ

高校受験に失敗した加奈(かな)。加奈は3歳の時に特別児童養護福祉施設から、今の両親に引き取られた。そのときに一緒に引き取られたのが、当時4歳だった純(じゅん)。今は兄として一緒に暮らしている。勉強もできる純と同じ高校に受かるために頑張ったのに、その高校を不合格となった加奈は純にも八つ当たりしてしまうのだが!?

良かった点

登場人物の表情がとてもよく、心の細かな機微まで伝わってくる表現力は新人離れしたものがあります。物語全体の構成もしっかりしており、描いている世界観もオリジナリティがあり、登場人物達の細やかな心とともに社会的な大きなテーマも捉えているので、物語のスケールの大きさを感じます。

ポイント

秀な兄へのコンプレックスに始まり、特別児童養護福祉施設で出会ったときからの加奈と純の絆、育ての両親との関係、加奈の実の親からの接触……と設定を盛り込みすぎており、63ページを使ってもきちんと物語を完結できませんでした。心動かされる作品を描けているので、ぜひ読み切れる力をまずは磨いてください。

地味なあの子がモテる理由(ワケ)

前川かなた

27歳(山梨県・36P)

作品あらすじ

高橋(たかはし)ナナは中高と女子校で過ごした結果、男との会話方法も見失ってしまったが、大学では挽回しようと努力とリサーチを怠らない日々を過ごしていた。ある日、大学の同級生で超地味な小川透子(おがわとうこ)がイケメンとデートしている現場を目撃し、しかもイケメンを二股しているということもわかったので、更に動揺する。さあ、リサーチ開始!

良かった点

主人公の「モテたい」「男と付き合いたい・会話したい」という一途な思いが、最初から最後までブレずに貫かれていて気持ちのいい作品です。会話のテンポや抜きゴマのバランスも心地よいので、非現実的なテーマでもあまり気にせず読むことができました。

ポイント

主人公の高橋さんも小川さんもブレないキャラで一貫しているのですが、すごく地味だけどモテモテという小川さんのモテ要素が若干弱含みで、説得力に欠けるところが残念でした。物語の肝だけに、イケメンたちがなぜ小川さんを大好きかというポイントを語るなど、物語に新たな視点がほしいと思います。

ヘヴンズ・トーク

藤さめざめ

36歳(神奈川県・36P)

作品あらすじ

バイト先をクビになり、慌てて職を探す倉田(くらた)の目の前に現れたのは、半年前に交通事故で妻を亡くした男・ツネちゃん。ツネちゃんは倉田のことを死者と交信できる霊能者・ジェーン・今村(いまむら)と勝手に間違え、報酬はいくらでも出すから、妻と交信してほしいと依頼する。倉田はジェーン・今村になりきって、ツネちゃん宅に通うのだが!?

良かった点

この先どうなるんだろうと、読者を物語に引き込む構成力があり、主人公がクビになる冒頭部分からほっこりするラストまでドキドキしながら読み進めることができました。それぞれのキャラクターを丁寧に描いている点も全体に好感度の高い作品になっています。

ポイント

全体に表情などを丁寧に描いている点がいいところでもあるのですが、話の内容的に登場人物が皆絶望感の中にあったりするため、極めて気持ちのいい絵の少ない作品になってしまいました。顔のアップ絵が多いところもそれを際立たせていますので、いろんな視点から画面を構成してみましょう。


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第28回(12月15日消印有効) 審査員:ひうらさとるさん
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