星の声
安積野サクラ
44歳(福島県・34P)
大学の掲示板で見つけたプラネタリウムのナレーションのバイトを始めたみはる。高校時代に地元のラジオ局で喋った経験のある彼女にとってやりがいのある仕事だった。みはるはそこで同じ大学に通うボロボロの毛布を手放さない青年・片岡(かたおか)と知り合う。みはるも片岡も震災の被災者だった。片岡は妹と一緒にみはるのラジオを被災地で聴いていた。毛布は妹の遺品だと知ったみはるは…。
ストーリー漫画を描くようになってから1年未満にも関わらず、キャラクターの心情を豊かに描ける表現力は素晴らしいと思います。震災のことを真正面から描く姿勢、覚悟にも感銘を受けました。これだけは描きたい、描かねばならないという必然性・必死さが画面から伝わってきます。作画も手を抜かず1コマ1コマに力がこもっていると思いました。1作目にしてデッサンの乱れも少なく、画力もとても安定していると思います。
画力の高さは素晴らしいですが、古い少女漫画のような作風はやや評価が分かれました。シリアスな題材だけに必要以上に作品に地味な印象を与えてしまい、読者が入ってくる間口を狭くしているかもしれません。内容的には片岡の妹の死は痛ましく、エピソードも感動的なのですが、やや情緒的過ぎたようにも思います。震災を扱うのであれば、そこにある「死」をできる限り丁寧に真摯に扱う必要があると思います。
MOMO
オムラ・オム
29歳(東京都・24P)
パリ在住の女子高生。とにかく食欲が止まらない。パンに肉にチーズに果物、パリ中の食品を食べつくして、やがて彼女は超巨大化していく。町を蹂躙(じゅうりん)し、男の子を飲み込んで、最後に彼女の食欲が向かったのはエッフェル塔。いくらなんでもそれは…。しかし彼女の食欲はためらいがなく、エッフェル塔すら飲み込んでしまうのでした。最後のしめは「ごちそうさまでした」。
とにかく画力が素晴らしい。食べ物が魅力的に描けているし、それを食べる女子高生の食欲もとても美味しく伝わってきます。冒頭、遠景で小さく描かれていたエッフェル塔が終盤巨大化した彼女と共に大画面で描かれる迫力は、かなりセンスを感じました。セリフを極力排した作風は、作者が絵に相当自信を持っていることを伺わせます。ワンアイディアで乗り切った作品ですが、インパクトを残すという意味では成功していると思います。
パリ、女子高生、食べるというモチーフ。作者が何故この組み合わせを選択したのか、そこに感覚的にのれない読者を振り落してまう作品ではあると思います。商業誌を目指すのであれば、もう少し説明的であっても良いように思いました。オムラさんは個性的なセンス、技術を持ってはいますが、まずは基本の構成力をつけることも成功するためには大切なことのように思います。次作ではより物語性の強い作品を読んでみたいという印象を受けました。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開! 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス!また、評判がいいと本格デビューに近づきます!! (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う2つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも2倍!
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい!
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう!