あげない
黒鳥安利
24歳(東京都・24P)
「君への想いが重いのかシュークリームが膨らまない」。女子高生のれいは同級生の小夏(こなつ)の誕生日プレゼントに自家製のシュークリーム作りに挑戦していた。そこには友情以上の想いが込められていた。しかし小夏の前に前沢(まえざわ)君といういい感じの男子が現れる。その関係を応援することも自分の想いを使えることもできないれい。誕生日当日になって…。
表情豊かな絵で、きれいに失恋を描いていると思います。特にれいが小夏にむける表情はとても良かったです。シュークリームの膨らみに彼女の感情を重ねるという作劇も漫画的でセンスを感じます。コマ割りや構図の取り方も投稿作としてはレベルが高く、24Pという比較的短いページ数で読み切りをまとめた点も好印象です。全体的に完成度の高い作品だと思いますし、丁寧に作品と向かい合っている感じもします。「Kiss」でデビューを目指すのであれば、ストレートな想いを伝えるだけでなくもう少し複雑な恋愛感情を描く必要があるかもしれません。れいの感情の流れはとても分かりやすいのですが、ちょっと物分かりが良すぎるようにも思いました。彼女が小夏との関係の変化を受け入れ新しい道を見つけ出す過程に、ドラマチックな何かがあればより感動の大きな作品になると思います。絵もとても良いのですが、女子の体の丸みなど幼い印象がしました。
眠れぬ夜を越えて
大友世界
38歳(神奈川県・43P)
高校生からの友達、民(みん)ととおこは正反対の性格ながら何故か気が合いルームシェアをしている。民は最近、不眠症にかかっている。それは隣で寝ているとおこにときめいてしまうから…。「考えてみたら…ときめいた事あったっけ…」今まで恋をしたことがない民が初めて恋をしたのがとおこだなんて! その感情を持て余した民は…。
主人公のとおこへの気持ちの戸惑いや葛藤、率直な性欲などがコミカルに、誠実に描かれていて、好感が持てる作品でした。物語に引き込ませる力もありグイグイ読み進められる作品です。また前回の投稿作品に比べ構図、コマ割りも驚くほど進化しており編集部での評価もとても高かった作品です。これは真摯に目標を定め努力している成果だと思いますので、今後もこの取り組みを続けてくださることを期待します。読み切りとして大変まとまった作品ではあるのですが、2~3巻でまとめるような感情の流れを持った作品を力技で1話にまとめてしまった感じもしました。そのためキャラクターの感情移入が追い付かず、作者が描きたいであろう「女同士の言葉では説明できない感情」がうまく消化できなかった印象も受けました。絵も大変個性的で良いのですがややラフになるところがあり、それがシリアスなテーマを伝える上で、マイナスに作用したように思えたのは残念でした。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開! 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス!また、評判がいいと本格デビューに近づきます!! (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う2つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも2倍!
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい!
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう!