入賞まであと一歩!
ど根性シャイちゃん
Berico
42歳(広島県・16P)
中元清香(なかもときよか)32歳、独身。自分を出せない性格で、初対面の男性との飲みの席でも、相手の話に合わせて「私もジャズが好きです」と話す清香。 “ほんとはもっとうるさい音楽が好きなんだけど”。そう彼女が思った瞬間、謎の美男に絡まれ「うそつき」とからかわれてしまう。さらに翌日、その美男と行きつけのレコード店で再会し…。
自分のことを何の取り柄もない女で、他人に合わせるしかないと卑下していた清香が、レコード店で活き活きと好きなミュージシャンの作品を探す姿を見てくれていた店長のさとうの言葉で成長していく姿には、心温まるものがありました。清香と同年代の読者に向けての確かなメッセージが感じ取れる良作だと思います。清香の目線を通して、さとうを飲みの席の男性とも対比させながら、内面的にも魅力のある男性として描けているのも秀逸です。
お話が簡素にまとめられ過ぎているきらいがあり、残念でした。清香が自信のない性格になったのは何故なのか。それが作中にあれば、彼女の成長した姿が一層際立つはずです。また、清香が“もっとうるさい音楽”を好きになった理由も語られずじまいで、音楽というモチーフを活かしきれていない印象です。清香が店長のさとうに告白するシーンも、音楽に絡めて演出できれば、より自然に盛り上がる展開になるのではないでしょうか。
ハラダくんは死にたくない
加藤菜月
23歳(東京都・30P)
荒んだ部屋で女子高生・加藤リカが死ぬべく左手首にカミソリを当てようとした時、携帯電話に非通知の電話がかかってくる。思わず電話に出るリカだが、掛けてきたハラダはもう家の前にまでいて、押しかけられてしまう。彼の肩の上に乗る喋る鳥曰く、二人は「リカが死ねば、あと一週間の命のハラダは生きられる」という関係で…。
“死”をテーマにすることで、表裏一体の“生”というテーマが浮き彫りになっており、見事でした。読者がこの物語はどうなっていくんだろう?と先が読めないスリリングさに酔いしれながら、読み進める展開になっています。コマ割り、台詞回しも個性的でありながら、決して読みづらくはなっていないのも魅力的に映る作品です。独特の世界観が作れているが故に、全体的に不思議な展開も受け入れられる効果もありました。
加藤リカが死にたいのは作中で再三語られますが、なぜ死にたいのか?に関しては、作中で大して言及がないのがもったいなく思いました。一から十まで説明し過ぎるのも無粋になってしまいますが、ハラダくんのまだ生きたい理由がとてもありふれていることや、リカに高飛車な態度でいる理由は実は優しさからくるものだったというのが腑に落ちるだけに、リカ側の希死念慮の動機も起承転結のどこかにあれば、ラストの余韻もより引き立ったように思います。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開! 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス!また、評判がいいと本格デビューに近づきます!! (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う2つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも2倍!
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい!
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう!