たいへんよくできました
黒鳥安利
25歳（東京都・36P）
OLの美佳は「中身がない」という理由で唐突に恋人に振られる。会社でも仕事を任せてもらえず、自分の価値が見いだせない彼女の元に「全国全肯定施策（自己否定による悪影響抑制のために施行された政策）」によりAIロボN-015が派遣されてくる。N-015の仕事は利用者を全肯定し褒め続けること。最初はうざがっていた美佳だったが、徐々に心境に変化が出てきて……。
絵のレベル、構成力とも一定のレベルに達している作品です。絵柄は少女漫画らしい可愛さのある作品ですが、美佳のマンションの生活感などリアルに描けており、そのバランスの妙が作品の魅力になっています。お話もうまくまとめていると思いますが、美佳の悩みの大きさに比べて立ち直っていく過程がやや安易に感じました。AIロボのかかわり方が薄く、美佳に気づきを促すメッセージも、励ましばかりでなく様々な経験にもとづくような深いものがあると良いように思いました。物語のラストも美佳の悩みが晴れただけでなく彼女がこれからどんな人生を歩むのか、先の展開も描かれているとよりカタルシスのある作品になったと思います。デビューに近い実力を持っていますので、プロット作りにより力を入れて物語の強度を高めてください。
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リボンドロップの先に
勝谷ととみ
33歳（福岡県・30P）
昼はOL、夜は小さなクラブでマジックを披露している城下ほの。彼女がマジックの楽しさに目覚めたのは18歳の時。教室で友達に見せたマジックで皆が喜んでくれたから。だがプロのマジシャンになることは遠い夢だった。ある夜、ほのは店の客・一条春太にマジックを誉められ、もっと見たいから家に来ないかと誘われる。ナンパ目的かと落胆したほのだったが、春太は遊園地の経営者だった……。
登場人物の気持ちの変化、関係性の変化について、前のご投稿作よりも違和感なく読めました。伝えたい物語、感情が整理されてきて成長を感じさせる作品です。画力も向上していると思います。読んで楽しいもの、健やかなものを描こうという気質はとても良いと思います。反面それが幼さに見えるところもあり、このあたりのバランスのとり方が今後の課題かと思います。偶然の出会いでチャンスをつかむのは良いのですが、ほのに夢を実現するビジョンがなく、行動も思考も受動的で場当たりに感じられるところもあります。与えられたチャンスをどうより良いものにするか、彼女なりのアイディアで遊園地を立て直すなど主人公が主体となって周囲を変えていくような、彼女の人間としての成長を描く作品になれば幼さから脱せられるのではないでしょうか。ほののマジックももっと描いてほしかったように思います。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開！ 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス！また、評判がいいと本格デビューに近づきます！！ (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う２つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも２倍！
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい！
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう！
第45回(5月15日消印有効)審査員：六多いくみさん
