ほぼほぼなんかある意味ここだけの話
川松栞
35歳(三重県・28P)
友人たちとの会話を盗み聞きし書き留めている男性に気づき、文句を言いにいった女性。その男性は、「口癖観察」が趣味なのだという。「あなただけが周囲を観察しているわけではない。世の中は一億総観察社会!」と豪語する彼に気圧(けお)されていたが、2人の会話を聞いていた第三の人物がカットイン。「それはそうと」が口癖の女性と、「それもそうだね」の口癖の男性の二人組を、一週間以内に見つけたら教えてほしいとお願いされ……?
「口癖」を使ったアイディア、日常のコミカルな会話劇からSF要素のある漫画的設定に飛躍する展開、王道のボーイミーツガールに着地した結末と、非常におもしろく、エンタメを意識した作品づくりになっており、素晴らしかったです。前回の投稿作とも異なる魅力のある作品となっており、作風の幅広さにも、大変驚かされました。気になったのは、絵の部分です。一瞬の読者との出会いを逃さず、作品に興味を持ってもらうためにも、画力や印象的な絵場面は、必ず強みとなります。作品を読み込まなくても、読者の目を惹くような絵場面、人物のビジュアルなど、ぜひもっと意識して取り組んでください。
で無料公開中! 作品のご感想をお聞かせください!!由美ちゃんの丁寧な恋
かわはらゆき
(東京都・34P)
刹那的な恋や生活とは縁のない、平和で丁寧な暮らしをしている蒔田由美。いつも白くてピンとしたシャツを着ている職場の上司・向井が気になっているが、なかなか一歩が踏み出せない。同僚の祥子に「恋愛なんて丁寧にこなせない最たるものなんだよ」と喝を入れられながらも、自分なりに向井への気持ちを重ねていく由美だったが、刹那的な恋の体現者である同僚女性が、向井に露骨なアプローチをし始めて……!?
主人公の一途さと不器用さをとても丁寧に描かれている点が素晴らしく、好感が持てる作品として仕上がっています。また、ストーリーのテンポ感も洗練され、現実に寄り添った世界観を読者にもわかりやすく描いている点に、前作からの大きな進歩を感じます。今後の課題は、絵柄やキャラクター像、恋愛観を、どのように「今」にチューニングしていくかという点です。現代を生きる大人の女性の欲望に素直な作品にしていくのか、或いは、現実にはない理想を詰め込んだ作品にしていくのかなど、かわはらさんの持つ作品の強みはどこなのか、どの読者にむけた作品を描くのか、より意識して作品づくりに取り組んでみてください。
で無料公開中! 作品のご感想をお聞かせください!!そんな夢を見た
狙井
22歳(北海道・28P)
同じクラスの完璧男子・月野を愛してやまない亀田。好きなものは読書と月野観察。嫌いなものは月野以外の人間全員!そんな彼女の執念が叶い、自分の夢の中に月野が登場。意を決して話しかけたものの、夢の中の月野は、普段の爽やかさのかけらもない別人だった。現実の月野にどう接触すればいいか、悩んだ亀田は、しぶしぶ夢の中の月野に相談するが……!?
キャラクターが個性的でおもしろく、冒頭で読者をしっかり?み読者を物語に引き込んでいく力がある点が素晴らしい作品でした。前半にインパクトがある分、夢が現実とどう絡んでくるのかが提示される、ラストが消化不良になってしまったのが、非常にもったいなかったです。魅力的なキャラクターや、読者を意識した画面作りはそのままに、作中の設定をストーリーに落とし込むにはどうしたらいいのか、しっかりと意識した物語づくりを、ぜひ心がけてください。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開! 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス!また、評判がいいと本格デビューに近づきます!! (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う2つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも2倍!
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい!
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう!