コントラスト
夏川キウイ
38歳(大阪府・42P)
内田麻衣子は7年目の看護師。母の勧めで進路を決めた彼女は、自分には向いていないことを自覚しながら、とめどなく降りかかってくる仕事をこなす毎日だ。担当する94歳の患者・桜川タエには、毎日のように我儘を言われて振り回されて…。そんな日々の唯一の楽しみが、付き合って1年ちょっとのマサオとの時間。来月の30歳の誕生日には、いつも笑顔で優しい彼からのプロポーズを期待している。「結婚したらこの生活から抜け出せる」と信じていた彼女に、マサオが告げた衝撃の言葉――。人生における「自分の意志」とは何かを問いかける物語。
まずはラストの夜空のシーンなど、印象に残る場面を描けていることが素晴らしいです。細やかな演出にも長けていて、タエの車窓からの風を主人公が病室で追体験するシーンなど、抑圧から解放に向けてのストーリーラインに沿った、効果的な演出がそこかしこに見られました。その結果、読後の爽快感を読者に与えることに成功しています。また、小さなコマでも構図にこだわりをもって描かれていたり、医療の現場をリアルに描いていたり、そういったことの積み重ねによって、作品全体の水準が保たれています。特に構図の部分では、様々な場面でカメラのアングルや寄り引きを変化させていて、意識の高さを感じました。全体に、細部にまで「見せよう」という意識の行き届いた作品だったと思います。
最後に主人公が受け取ったメッセージは、とても素直に心に響いてきました。ただ、その後に主人公が具体的にどういう一歩を踏み出したのかまで、できれば読みたかったという部分はあります。同じように描き切れていないように感じたのが、マサオがどういう意図でああいった行動をとったのかという点です。作品内ですべてのことに決着をつける必要はありませんが、読者に疑問を残してしまうのはマイナスになりかねません。また逆に、少し冗長に感じてしまうシーンも散見されましたので、作品を描くにあたって、何をどこまで描くかを事前に意識しておくとよいかもしれません。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開! 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス!また、評判がいいと本格デビューに近づきます!! (※TOP賞が出ない月もあります。)
Kiss・ハツキスという姉妹誌の新人賞を統合!! 王道系女性漫画雑誌「Kiss」と、【初】をコンセプトにした刺激的マンガ雑誌「ハツキス」。 系統の違う2つの漫画雑誌にまたがる賞なので、チャンスも2倍!
入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい!
デビューが決まると、月間審査員の先生からコメントがもらえちゃう!