スワロウイング
夏川キウイ
（大阪府・46P）
寄田美咲は2年前に内定が取り消され就職に失敗。その後、資格を取ってリハビリ病院に就職した、新米言語聴覚士だ。初めて担当した入院患者・アキヨさんは、脳の病気で発症から4ヵ月経った今でもまだ意識が戻らない。毎日夫も寄り添ってリハビリを続けているが、回復の兆しは見えない。病院側は療養病院への転院を勧めているのだが、それは回復をほぼ諦めるということでもあった。納得のできない夫と、冷静な判断を下そうとする病院側の間に立たされることになってしまった美咲は……。
言語聴覚士という興味深い世界が描かれていて、またそこに引き込んでくれる臨場感がありました。リアルなセリフ回しや丁寧な感情描写によるものだと思います。必然的に人の生き死にに関わってくる「医療」の場をしっかり描ける誠実さを感じることもできました。ただ、エンターテインメントとして楽しむには、まだキャラクターの魅力やドラマの新鮮味、画面作りなどの点において物足りなさも感じます。描きたいテーマを読者に伝えるためには、意外性のある展開や、印象に残る絵場面、笑わせるセリフなど、読んでもらうためのサービスが必要です。特に画力の面では向上の余地がまだまだありそうです。今回は登場人物がが立って話している場面が多かったですが、同じ場面でも構図を工夫するだけで大きく印象が変わるはずです。
お向いさんの小さな魔法
帳 陽菜
26歳（岡山県・36P）
卓球部のエースだった国雪は、今は部活から離れてしまっていて、なかなか部に 戻れないでいた。チームメートから戻ってくるように言われても苛立ってしまうばかり。昔はそんな時、向かいの家に住んでいるおばあちゃんが心をほどく「魔法」をかけてくれたのに…。そのおばあちゃんも亡くなってしまい、行き場のない思いを抱えていた国雪に声をかけてくれたのは、おばあちゃんの孫娘の文姉ちゃん。彼女と過ごすゆったりとした時間が、国雪を次第に変えていき…………。
見せ場をしっかりと描こうとする意識や、微妙な感情を表現するための多彩な表情の描き方など、画力の面で今までの作品からの飛躍的な向上を感じました。その絵の力によって、丁寧にキャラクターの心情を追うという描き方を実現できたのだと思います。漫画全体から感じられる人の温もりも好印象でした。その一方で全体的に舌足らずな印象も受けました。特に主人公の卓球への思いが、エピソードで描かれず彼自身の口から語られるだけだったのは、ドラマを全体として薄味にしてしまっています。彼にとって卓球がどういう存在なのか、どう特別なのか、そこをしっかりと掘り下げることで、彼の「復活」に本当に必要なものが見えてくるはずです。そうすればストーリー自体もより深い感動を与えられるものになっていたかと思います。
毎月TOP賞の作品は、Kissのホームページ上にて公開！ 写植の入った自分の製版原稿が見られ、担当編集者と読者からの感想を受け取れます。 多くの人に自分の原稿が読まれるチャンス！また、評判がいいと本格デビューに近づきます！！ (※TOP賞が出ない月もあります。)
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入賞したら必ず担当編集が付きます!! 早い段階から担当編集がついて漫画作りをサポートすることで、デビューしてからも 活躍できる底力が身に付きます。選外でも、編集者の目にとまれば担当がつくことも。
選外の作品にも必ず、講評シートで丁寧にアドバイス!! 選外でも、編集者直筆の講評シートがついて原稿が返送されるので、 次の作品作りの指針が見えやすい！
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第59回(7月15日消印有効)審査員：おかもととかささん
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